ポセイドンはギリシャ神話における海洋の神であり、「海洋支配」という圧倒的な能力を持つ存在として知られています。彼はゼウス、ハデスとともに宇宙を分割して支配する三柱の神の一人であり、その力は海の全域、地震、さらには馬の創造にまで及びます。ポセイドンの能力とそれにまつわる伝説は、自然の猛威とその秩序の両方を象徴しています。

 

 

海を支配する絶対的な力

Poseidon (Neptune), the Greek god of the sea／1878年、木版画
海の神ポセイドンが三叉の槍を持ち、海を支配する姿を描いた作品。
（出典：Wikimedia Commons Public Domainより）

 

ポセイドンは海洋を完全に支配する力を持ち、波を操り、嵐を引き起こすことでその威厳を示しました。その象徴である三叉の槍（トライデント）を振るえば、海が荒れ狂い、船が沈むこともあれば、逆に穏やかな航海をもたらすこともできました。彼の海洋支配は、古代の船乗りたちにとって畏怖と崇敬の対象だったのです。

 

トロイ戦争での役割

ポセイドンはトロイ戦争において、ギリシャ側を支援しました。これは、彼がトロイア王ラオメドンに不忠を働かれた恨みによるものです。かつてラオメドンの命令でトロイの城壁を建設した際、報酬を支払われなかったことに怒ったポセイドンは、トロイに海の怪物を送り込み、戦争が勃発する要因の一つを作りました。この行動は、彼の力が単なる自然支配にとどまらず、人間の運命にも影響を及ぼすことを示しています。

 

地震の神としての顔

ポセイドンは「地震を揺るがす者」とも呼ばれ、海だけでなく大地を揺らす力も持っていました。怒りに駆られた彼が槍を地面に突き刺すと、激しい地震が発生し、町や村が崩壊したと言われています。この能力は、自然界の破壊的な側面を象徴するものであり、彼がただの海の神ではないことを物語っています。

 

馬の創造と文明への貢献

ポセイドンは海だけでなく馬を創造した神としても知られています。神話によれば、彼はアテナとの競争で都市国家アテナイを得ようとし、海から馬を生み出しました。このエピソードは、彼が単なる破壊者ではなく、文明や戦争においても重要な役割を果たしたことを象徴しています。