ウラノスの性格が「厳格で支配的」と言われる理由

ウラノス(ウーラノス)はギリシャ神話において、天空の神であり、地母神ガイア(大地)との間に多くの子をもうけました。しかし、その性格が「厳格で支配的」とされるのにはいくつかの理由があり、特に彼の恐怖と抑圧的な行動が重要な要素です。

 

 

子供たちへの抑圧的な支配

Uranus by Karl Friedrich Schinkel

『ウラノスと踊る星々』1834年カルル・フリードリッヒ・シンケル作
天空の神ウラノスを描いた木版画。彼の威厳と力強さが表現されている。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

ウラノスはガイアとの間に様々な子供たちをもうけましたが、その中には、ティタン神族、キュクロプス(三つ目の巨人)、そしてヘカトンケイル(百腕の巨人)などが含まれていました。ウラノスは、これらの子供たちの姿が恐ろしく異形であると感じ、彼らを忌み嫌いました。結果として、ウラノスは彼らを地中に閉じ込めることを決めました。この行為は、彼の厳格で支配的な性格の象徴とされています。神である彼にとって、自らの意に沿わない存在や制御できないものを容赦なく排除しようとしたことが、厳格さと支配欲の現れと解釈されています。

 

権力と支配に対する恐怖

ウラノスが自らの子供たちを封じ込めたのは、彼が自身の地位を奪われることを恐れたからとも考えられます。ギリシャ神話には、子が父を超えるという「父殺し」のテーマが頻繁に登場しますが、ウラノスもまたこの恐れに支配されていたとされます。そのため、自身の支配と力を守るために、厳格で冷酷な手段を取ったのです。

 

罰と暴力の行使

ウラノスの性格がさらに支配的で厳格に見えるのは、彼の抑圧的な方法が暴力的であったからです。地母神ガイアは、ウラノスの行動に耐えかねて最終的に息子クロノスにウラノスを倒させる計画を立てました。クロノスがウラノスを攻撃し、去勢することでウラノスの支配は終わりを迎えましたが、これはウラノスの暴君的で独裁的な支配に対する反抗でもありました。神話におけるこのエピソードは、ウラノスがどれだけ支配的で容赦のない性格であったかを強調しています。

 

天空の象徴としての存在

また、ウラノスは天空そのものの象徴であり、全てを見下ろし、支配する存在として描かれています。天空という広大で圧倒的な存在が、そのままウラノスの厳格で全能的な性格に結びついていると考えられます。神話におけるウラノスは、人間的な感情というよりも、宇宙の法則や天体の秩序を象徴する神格として存在しており、その厳格さや支配性は、自然界の圧倒的な力としての天空のイメージに重なります。

 

ウラノスの性格が「厳格で支配的」とされるのは、彼が家族であるはずの子供たちに対しても冷酷に接し、権力を守るためにはどんな手段も厭わなかったからです。また、神話においてウラノスの支配と厳格さは、天空という崇高かつ無慈悲な存在の性質とも結びついています。この厳格な性格が、後に息子クロノスや孫のゼウスへと続く神話の世代交代劇のきっかけとなり、ギリシャ神話全体の大きなテーマである「権力の争い」に繋がっていくのです。