ヘルメスのエピソードまとめ

ギリシャ神話に登場する神ヘルメスは、神々の伝令使として知られ、機知に富んだ行動や冒険心あふれるエピソードが多く残されています。以下に、特に有名なエピソードをまとめました。

 

 

誕生からわずか数時間で家畜泥棒

Mercury and Herse by Cornelis van Poelenburch

ヘルメスのいたずら、コルネリス・ファン・ポーレンブルフ作
ギリシャ神話において、伝令の神ヘルメスがヘルセを誘惑する物語を描いた絵画。デルフトの黄金時代に典型的な繊細で詳細な画風で、神々と人間の複雑な交流を描いている(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

ヘルメスは生まれて間もなく、その機知と悪戯好きな性格を発揮します。誕生した日に、兄であるアポロンの家畜を盗み出し、足跡がわからないよう逆向きに歩くという巧妙な手段を使って隠そうとしました。最終的にアポロンに見つかりますが、ヘルメスはゼウスの前でその賢さと愛嬌を発揮し、ゼウスからも許されることに。ヘルメスは家畜を返し、代わりに「リラ(琴)」を発明してアポロンに贈ることで和解しました。この出来事により、ヘルメスは機知に富んだ「神々の使者」としての役割を確立することとなったのです。

 

冥界の案内役

ヘルメスには、冥界の王であるハデスと共に、死者の魂を冥界に導く「魂の案内人」としての役割もありました。人々が死後、冥界へと向かう際、彼が安全に案内することで、死後の道のりがスムーズになると考えられていました。そのため、冥界でもヘルメスの存在は重宝され、ギリシャの人々も彼に対し、死者の魂を無事に冥界へ送り届ける役割として信頼を寄せていたわけですね。

 

トロイア戦争への関与

トロイア戦争では、神々がギリシャ軍とトロイア軍に分かれて戦う場面が多く見られましたが、ヘルメスも時折この戦いに関与しています。例えば、トロイアの王プリアモスが戦場に出て、息子ヘクトルの亡骸を回収しようとした際、ヘルメスが現れて彼をギリシャ軍の包囲から救いました。この行動は、ヘルメスが中立的な立場で助け合いを重んじる神であることを示しており、トロイア戦争においても重要な役割を果たしたのです。

 

盗みと商業の神

ヘルメスは商業や富の神としても知られており、交易の守護神としてギリシャ全土で崇拝されました。その賢さと抜け目なさから、商売の才覚や盗みの技術にも長けているとされました。ギリシャの商人たちは、商売の繁栄を願いヘルメスに祈りを捧げ、また旅の守護者として旅人や商人たちからも信頼を集めていたのです。彼のずる賢さや自由さは、「商売や冒険の神」としての個性と結びついているんですね。

 

パンドラの箱

ヘルメスは、ゼウスの命令により最初の女性パンドラに特別な贈り物を与えた神の一人です。ヘルメスはパンドラに「好奇心」と「言葉巧みな性格」を授け、彼女の性格を完成させました。その結果、パンドラは箱を開け、病や災厄が人間界に解き放たれました。このエピソードは、ヘルメスが人間に新しい試練をもたらす役割も担っていることを示しています。

 

 

 

このように、ヘルメスは神々の使者や悪戯好きの神として、ギリシャ神話の中でさまざまな役割を果たしました。彼の存在は、神々と人間、冥界をつなぐ「橋渡し役」として欠かせないものでした。

 

こうしてみると、ヘルメスはただの伝令使ではなく、神話における冒険心と機知の象徴であり、様々な役割を持つ多面的な神だったんですね!