ナルキッソスはギリシャ神話に登場する美しい青年であり、彼の性格は「自己陶酔的で虚栄心が強い」とされ、そのために悲劇的な結末を迎えたことで知られています。彼がこのように語られる理由は、自らの美しさに溺れ、他者への配慮を欠いた姿勢にあります。

 

 

自らの美貌に陶酔するナルキッソス

ナルキッソスは非常に美しい容姿を持ち、周囲から称賛されていましたが、その美貌への自負が強く、彼自身もそれに大いに酔いしれていました。ある日、泉に映った自分の姿に魅了され、その美しさに完全に心を奪われた彼は、そこから離れられなくなったのです。このエピソードは、ナルキッソスがどれほど自己陶酔に囚われていたかを象徴しています。

 

Narcissus by Caravaggio／1597-1599
自分の姿に恋をするナルキッソスを描いた作品。自己愛と哀愁が感じられる。
（出典：Wikimedia Commons Public Domainより）

 

他者を拒絶し続ける虚栄心

ナルキッソスの虚栄心は、彼に恋をした者たちへの態度にも現れています。特に、彼に恋をした妖精エコーの愛情を冷たく拒絶し、彼女を深い悲しみに追いやりました。ナルキッソスは、他者の感情よりも自分の美貌や自尊心を優先する性格であったため、彼の虚栄心が他者を傷つけ、悲劇を生む結果となったのです。

 

自己愛による悲劇的な最期

ナルキッソスが自分の姿に夢中になるあまり、泉を離れられなくなった結果、彼はやがて衰弱し、命を落とすことになります。神々はその様子を哀れみ、彼の魂を美しい花へと変えました。このナルキッソスの物語は、「自己陶酔がもたらす悲劇」の象徴として語り継がれており、彼の強い自己愛と虚栄心が破滅を招いたことを物語っています。