ギリシャ神話の始まりは、他の神話と比べても非常に独創的です。世界が最初に誕生した状態として「カオス」という混沌が広がっていたとされ、この「カオス」から全てが生まれたのです。

マグナム・カオス、ジョヴァン・フランチェスコ・カポフェッリ作、ロレンツォ・ロットのデザインに基づく、1524-1531年
創造の始まりにおけるカオスの概念を象徴的に表現した木象嵌アート。この作品はイタリア、ベルガモのサンタ・マリア・マッジョーレ教会の聖歌隊席にあります（出典：Wikimedia Commons Public Domainより）

この「カオス」は、無秩序で何も存在しない広がりを意味していましたが、そこからまず「ガイア」という大地の女神が生まれ、世界の基盤となる土台を作りました。次に、夜を象徴するニュクスや暗闇の神エレボス、光の神エロスといった神々が誕生し、天地や光と闇といった宇宙の要素が少しずつ整えられていきます。

これに加えて、ガイアからは空の神ウラノスが生まれ、ガイアとウラノスの結びつきからさらに多くの神々や巨人たちが生まれていきます。こうしてギリシャ神話の世界観は、神々が次々と生まれ、それぞれの力が加わりながら少しずつ構築されていくという壮大な始まり方を見せています。神々が互いに協力や争いを繰り返しながら世界が形成されるという、ドラマチックな流れも非常に魅力的ですね。