ギリシャ神話における「最初の神」といえば?

ギリシャ神話における「最初の神」といえば、カオスが挙げられます。カオスは「混沌」や「虚空」を象徴する存在であり、ギリシャ神話の宇宙の始まりを表す最初の神です。カオスは秩序も形もない状態そのもので、世界に存在するすべてのものの起源とされました。ギリシャ神話の創造神話では、カオスがあらゆるものの源として登場し、そこから大地の神ガイアや、冥界の深淵を司るタルタロス、愛の神エロスといった他の原初の神々が生まれ、宇宙が構築されていったのです。

 

カオスの次に生まれたとされるのが、ガイア(大地の女神)です。ガイアは大地を象徴し、カオスから生まれた世界に形と基盤を与える存在でした。ガイアは後に、天の神ウラノスを生み、彼と結びつくことで、神々や巨人、怪物たちを生み出す母としての役割を果たしました。カオスが無限の可能性を秘めた「無」を象徴するのに対して、ガイアは具体的な「存在」として、生命と秩序の基盤を築いた神と言えます。

 

The Creation of the World and the Expulsion from Paradise by Giovanni di Paolo

The Creation and the Expulsion from the Paradise by Giovanni di Paolo
ギリシャ神話における世界の創造と楽園からの追放を描いた作品。神話的な景観と神々のドラマを表現。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

また、エロスもこの創造の過程で重要な役割を果たします。エロスは「愛の神」として、世界に生命が生まれるための結びつきを促す力を持っていました。エロスの存在があることで、神々や自然が結びつき、次々と新しい生命が誕生していく流れが生まれたのです。この愛のエネルギーは、創造の力そのものであり、神々が繁栄する根源的な力とされています。

 

こうしてみると、カオスから始まった原初の神々の系譜は、ガイアやエロスといった存在が加わることで、秩序と生命が創造され、神話の世界が築かれていったのです。

 

こうしてみると、カオスをはじめとする最初の神々は、宇宙の基盤を形作る存在として、ギリシャ神話の壮大な物語の出発点だったのですね!