ギリシャ神話における「猫」の伝説

ギリシャ神話の「猫」伝説

猫はギリシャ神話には多く登場しませんが、女神アルテミスやヘカテと結びつけられることがあります。その神秘的な存在感は夜や魔術の象徴として解釈されてきました。このページでは、ギリシャ神話における猫の象徴や信仰的背景を理解する上で役立つこのテーマについて、がっつり深掘りしていきます!

なぜ猫は登場しないのか──ギリシャ神話に「猫」がほぼ出てこない理由


古代の物語や神話を読んでいると、「あれ?ってほとんど出てこなくない?」って、ちょっと気になっちゃいますよね。


ギリシャ神話には、犬とか鳥とか蛇とか、いろんな動物が当たり前のように登場するのに、猫だけスルーされがちなんです。でもそれって、たまたま忘れられてたわけじゃなくて、ちゃんとした理由があるんです。


というのも、猫が地中海世界に広まったのはけっこう遅め。そのころにはもう、犬とか鷲とか牛とか蛇が「神さまの象徴」としてしっかりポジションを確保してたんですね。だから猫があとから登場しても、「今さら割り込むのはちょっとムリ」って感じだったわけです。


しかも猫って、どっちかというとエジプトでめちゃくちゃ大事にされてたんですよ。神聖な動物として扱われてて、信仰の対象にまでなってました。でもギリシャでは、そこまでの崇拝対象にはならなかった。文化の違いってやつですね。


つまり、ギリシャ神話に猫がほぼ登場しないのは「文化的な普及の遅れ」と「既存の象徴との重なり」が理由だったのですね。




古代ギリシャと猫の歴史的関係──普及の遅れ

イタチ形のテラコッタ製アスコス(カンパニア、紀元前4世紀)

イタチ形のテラコッタ製アスコス(カンパニア、紀元前4世紀)
猫が一般化する以前、古代ギリシャでは、家屋の害獣退治に役立つイタチが身近な存在で、容器にもその姿が造形された。

出典:Photo by The Metropolitan Museum of Art / Wikimedia Commons CC0 1.0より


じつはね、古代ギリシャではって、私たちが思うほどポピュラーな動物じゃなかったんです。地中海世界に猫がちゃんと広まったのはけっこう後のことで、それまでのあいだ、ギリシャ人たちはイタチマングースにネズミ退治をお願いしていたんですよ。


つまり、猫と人間が当たり前のように一緒に暮らすようになるのはもっと後の話。神話が生まれた時代には、まだ猫が物語の中で活躍するチャンスすらなかったんですね。


猫の伝来の遅さ

が最初に家畜化されたのは、エジプトとかその周辺でした。そこから少しずつ広がっていって、ようやくギリシャにも伝わった。でもその頃にはもう、神話や伝承のキャストはだいたい決まっちゃってたんです。


つまり猫は、舞台に立つにはちょっと遅れてきた役者。だからギリシャ神話に登場するチャンスがなかったんですね。


イタチやマングースの役割

ギリシャの人たちはイタチマングースを、ネズミとか蛇を退治してくれる頼れる仲間として見ていました。すでに「害獣退治ならこいつら!」って役割がしっかり決まってたので、猫にそのポジションをあえて渡す必要はなかったんです。


そんな文化の中で、猫が「神話に登場する動物」として定着しなかったのも、まあ自然な流れですよね。


後世での受容

とはいえは、その後の時代にはちゃんと活躍の場を得ていきます。ローマ時代や中世ヨーロッパになると、「家を守る存在」や「魔術と神秘の象徴」みたいな立場で、ぐっと存在感を増していくんです。


でもギリシャ神話がつくられた頃には、そういうイメージはまだなかった。だから神話に登場しなかったのも当然だったのかもしれません。


猫の姿が見えないのは、文化と時代のちょっとしたズレのせいだったんですね


つまり猫は、神話が形づくられる時代にはまだ普及していなかったため、象徴性を持つことができなかったのです。



犬・鳥・蛇に象徴性を託したギリシャ文化

猫が神話にほとんど登場しないのって、ちょっと不思議に感じますよね。でもそれにはちゃんと理由があるんです。というのも、、そしてといった動物たちが、すでに神話の中ですっごく大事なポジションを占めていたからなんです。


人びとは、そうした動物たちを通して神さまの力や自然の不思議さを感じ取って、それを物語に取り込んでいったんですね。


だから猫が登場したときには、もう「象徴の席」は満席。新しく入り込む余地はなかったわけです。


犬の忠誠と冥界の象徴

ギリシャ神話でといえば、やっぱりケルベロス。冥界の門を守る番犬として有名ですね。それだけじゃなく、英雄のそばで戦う猟犬なんかもよく登場していて、犬は「忠誠」や「死後の世界の守り手」として深く結びついていたんです。


もうこの時点で、犬は神話のなかでも特別な存在。猫が割り込む余地なんて、なかったのも納得ですよね。


鳥と神託の象徴

たちも大活躍です。たとえばフクロウはアテナのシンボルとして、「知恵の象徴」として描かれていましたし、ワシはゼウスの権威のしるし。


空を自由に飛ぶ鳥は、「神さまからのお告げ」を運んでくれる存在でもありました。そんなに神秘的な役目を担ってたら、猫の出番がないのも仕方ないですよね。


蛇と生命力の象徴

は「生命」と「死」そして「再生」まで象徴する、とてもパワフルな存在でした。医療の神アスクレピオスの杖に巻きついている姿、あれも蛇ですよね。


冥界や治癒のイメージと結びついたことで、蛇は「知恵」と「神聖さ」を兼ね備えた動物として扱われたんです。


犬・鳥・蛇がそれぞれしっかり象徴の役目を果たしていたからこそ、猫には割り込む余地がなかったんですね


つまり猫が登場しないのは、他の動物がすでに強い象徴性を担っていたからなのです。



エジプト神話との対比──猫の神聖性の不在

座る猫のバステト像(ワルターズ美術館蔵、古代エジプト後期)

エジプトのバステト像
古代エジプトでは猫は女神バステトと結びつき、家庭の守護や豊穣、音楽の加護を担う聖獣とされた。ギリシャ神話と違い猫は神格と直接むすびつき、献納像やミイラとして崇敬の対象になった。

出典:Photo by Walters Art Museum / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0 / title『Egyptian_-_Statue_of_a_Seated_Cat_-_Walters_54403_-_Three_Quarter』より


がギリシャ神話にほとんど登場しないことを考えると、いちばん対照的なのがやっぱりエジプト神話です。あっちでは、バステトという女神をはじめとして、猫は神聖で守りの力を持つ存在として、ものすごく大切にされていたんです。


でもギリシャでは、そういった「聖なる役目」が猫に与えられることはありませんでした。そこには、文化や宗教の価値観の違いがくっきりと表れているんですね。


エジプトにおける猫の神聖性

エジプトでのは、家を守る存在であり、バステト女神の象徴。豊穣や愛をつかさどる女神のパートナーということで、猫を殺すなんてもってのほか。法律でガチガチに守られてたんですよ。


つまり猫は、ただのペットじゃなくて「神聖な生き物」。人々にとっては、神さまと人間のあいだをつなぐような存在だったんです。


ギリシャとの文化的差異

一方のギリシャでは、猫があまり知られてなかったことにくわえて、神話における「守り」や「神秘」みたいな役目は、もう犬・鳥・蛇たちがしっかり押さえてました。


だから猫にわざわざ新しいポジションを用意する理由もなくて、「神話に登場する特別な動物」になることもなかったんですね。


文化交流の影響

もちろん後のヘレニズム時代になると、ギリシャとエジプトはけっこう交流するようになります。でもその頃には、もうギリシャ神話のメインストーリーは出来上がっちゃってたんです。


なので、エジプトの猫信仰がギリシャ神話に入り込むチャンスはほとんどなかった。


猫がギリシャ神話に登場しなかったのは、文化と歴史のタイミングがかみ合わなかったから──それがいちばんの理由なんです


つまり猫がギリシャ神話に登場しないのは、エジプトのように神聖視される文化的基盤が存在しなかったからなのです。


が神話に姿を見せないのは、、そしてに象徴性を奪われ、文化の広がりにも遅れを取ったから。ギリシャ神話に猫がほぼ登場しないのは「文化的背景と象徴の重なり」が理由だったというわけ。