ギリシャ神話における「雷神」といえば、まずゼウスが最も代表的です。ゼウスは天空と天候を司る神であり、特に雷を操る力を持つ最高神として崇められています。彼はオリンポス山の神々を統率し、雷を武器として用いることで、その力を示していました。ゼウスが激怒すると雷が鳴り響き、彼の投げる雷霆（いかづち）は人間界や神々にとって大いなる恐怖の象徴でした。ゼウスはこの雷霆を用いることで神々の秩序や人間の正義を守るとされ、絶対的な力の象徴と見なされていました。

この雷霆は、ゼウスの母であるガイアとウラノスから生まれたキュクロープスたちによって鍛えられ、彼に授けられたものです。この神話は、ゼウスが雷の力を得ることで、ティーターン神族を打ち破り、オリンポスの支配者の地位を確立したことを象徴しています。雷の力はゼウスの威厳と権力の証であり、彼が正義と秩序をもたらす存在であることを強調するものでもあります。

Zeus as the Supreme God
オリンポスの神々を統治するゼウスを描いた作品。雷を手にした力強い姿が表現されている。
（出典：AngelikaによるPixabayからの画像より）

また、ゼウスの息子であるヘルメスも、神話によっては雷と関わる存在として描かれることがあります。ヘルメスは神々の伝令として、しばしばゼウスの雷を持って駆け巡る役割を担うこともありました。彼の素早さと雷の力が結びつくことで、ゼウスの意志を迅速に伝える役割を果たしたようです。

このように、ゼウスはギリシャ神話における雷神として絶対的な存在であり、雷を通じて権力と正義を象徴しているのです。