「七つの大罪」をギリシャ神話の神々に当てはめてみた

七つの大罪」はキリスト教の教えに由来する概念で、それをギリシャ神話の神々に当てはめてみると、また面白い発見がありますよ。各罪に対応する神を選ぶにあたり、神々の行動や性格が反映される形になりますね。

 

 

七つの大罪とは

ヒエロニムス・ボスの『七つの大罪と四終』

ヒエロニムス・ボスの『七つの大罪と四終』(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

七つの大罪はキリスト教の教義に基づく人間の「根本的な罪」を指します。それぞれ「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」とされ、道徳的堕落や人間関係の悪化を招くものとされています。この概念は中世ヨーロッパの神学者たちによって整理され、人間の精神的な弱点を戒める教訓として広まりました。

 

そして、ギリシャ神話の神々にもこれらの罪と通じる性質が見られます。たとえば、傲慢(プライド)は神々への冒涜としてゼウスの怒りを買う主要なテーマであり、嫉妬はヘラの特徴的な性格です。また、暴食や色欲はディオニュソスの享楽的な行動、憤怒はアレスの好戦的な性格がまさにそれです。

 

このように七つの大罪の概念は古代から存在していた人間性への洞察と密接につながっているわけですね。

 

ギリシャ神話における「七つの大罪」

「傲慢(プライド)」

ゼウスはオリンポスの神々の王であり、彼の支配と判断は絶対です。自らの力を誇示し、しばしば他の神々や人間にその力を見せつけることから、「傲慢」の名に相応しいと言えます。 ゼウスの行動はしばしば他の神々や人間たちに影響を及ぼし、彼の自己中心的な判断が重大な結果を招くことも少なくなかったのです。

 

「嫉妬(エンヴィ)」

ヘラはゼウスの妻であり、いつも彼の不貞に対して嫉妬心を燃やしています。ゼウスの愛人やその子供たちに対して激しい嫉妬を見せ、復讐を行うことが多いんですね。その復讐はしばしば極端で残酷なものとなり、彼女の感情の深さと複雑さを示しています。

 

「憤怒(ラース)」

戦争と破壊の神アレスは、その激しい性格と衝動的な行動で知られています。彼の「憤怒(ラース)的」性格は戦場での残虐行為に現れており、この罪にぴったり。 アレスはその気性の荒さからしばしば他の神々とも衝突し、争いをも引き起こすことが多かったのです。

 

「怠惰(スロス)」

デメテルが娘ペルセポネを冥界のハデスに奪われた際の深い悲しみは、世界を冬に陥れました。この時の彼女の無力さや活動停止は、「怠惰」と解釈できるかもしれません。 彼女のこの行動は自然界にも大きな影響を及ぼし、地上の生命に対して重大な影響を与えました。

 

「強欲(グリード)」

富と財宝の神プルートスは、物質的な豊かさを象徴しています。強欲の罪は彼の執着と財宝への渇望によく合います。 プルートスの存在は人間の貪欲な面を反映し、経済的な豊かさがどのように人々の行動や価値観に影響を与えるかを示しています。

 

「暴食(グラトニー)」

ワインと宴の神ディオニュソス は、過剰な飲酒と祝祭を象徴しています。彼の祭りではしばしば暴食が行われるため、この罪を代表するのに適しています。 ディオニュソスの祭りは、快楽追求の極致を表し、参加者がしばしば理性を失うほどです。

 

「色欲(ラスト)」

愛と美の女神アプロディーテは、情熱と性的な魅力の化身です。彼女の多くの恋愛関係は、色欲の大罪と密接に関連しています。 アプロディーテの愛の物語は数多く、その魅力がどのように他の神々や人間の運命を左右するかを示しています。

 

これらのギリシャ神話の神々に「七つの大罪」を当てはめることで、神々の人間味あふれる側面が浮かび上がり、神話がさらに色鮮やかに、そしてリアルに感じられますね。