ギリシャ神話の「7将によるテーバイ攻め」伝説とは

ギリシャ神話の「7将によるテーバイ攻め」は、テーバイの王座を巡る争いに関する悲劇的な物語です。この伝説では、7人の将軍が連合軍を率いてテーバイに攻め込みますが、結果としてほぼ全員が命を落とすという悲劇的な結末を迎えます。以下で詳しく解説していきます。

 

 

戦いの背景

テーバイ王オイディプスが王位を放棄し、息子たちエテオクレスポリュネイケースに王位を譲りました。二人は1年ごとに王位を交代することで合意しましたが、エテオクレスが約束を破り、ポリュネイケースを追放して王座を独占してしまいます。

 

戦いの発端

テーバイから追放されたポリュネイケースは、アルゴスに逃れてそこで支援を求めました。アルゴスの王アドラストスはポリュネイケースのために、自らを含む7人の強力な将軍を集めてテーバイへの遠征を決意するのです。

 

「7将」のメンバー

7将はポリュネイケースとアドラストスを含む7人の将軍で、いずれもアルゴスとその周辺の強力な戦士たちでした。そのメンバーは以下の通りです。

 

  • アドラストス - アルゴスの王で、遠征の首領。
  • ポリュネイケース - テーバイの追放された王子。
  • アンフィアラオス - 預言者で、遠征が失敗に終わることを予見しながらも参加。
  • カパネウス - 勇猛で、テーバイの城壁を登る際にゼウスの雷に撃たれる。
  • テューデウス - 知勇に優れ、アルゴスの有力者。
  • ヒッポメドン - 戦いに長けた強者。
  • パルテノパイオス - アタランテの子で、若き勇者。

 

戦いの結末

7将によるテーバイ攻め/1826年 アンジェリーク・モンジェ作
オイディプスの息子たちによる権力争いを背景に、テーバイを攻める7人の将軍を描いた歴史画。(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

遠征軍はテーバイの7つの門にそれぞれ1人ずつ配置し、激しい攻撃を仕掛けましたが、テーバイ側も堅く守り、熾烈な戦いとなりました。最終的にエテオクレスとポリュネイケースが戦場で一騎打ちし、互いに刺し違えて命を落とします。この戦いは、ほぼ全ての将が命を落とすという大きな犠牲を伴う悲劇的な結末となりました。唯一生き残ったのは、アルゴス王アドラストスだけでした。

 

後日譚:「エピゴノイ」の遠征

「7将によるテーバイ攻め」で命を落とした将軍たちの息子たちは「エピゴノイ」と呼ばれ、父たちの復讐を果たすために再びテーバイへの遠征を決行します。このエピゴノイの戦いでは、彼らがついにテーバイを攻略することに成功し、長きにわたる因縁が完結することになるのです。

 

「7将によるテーバイ攻め」の伝説は、裏切りや復讐、戦争の悲劇を描き出し、ギリシャ神話の中でも特に複雑で重い物語として語り継がれています。