ギリシャ神話における「運命の女神」といえば?

ギリシャ神話における「運命の女神」といえば、モイライが最もよく知られています。モイライは運命を司る三姉妹の女神であり、すべての神々や人間に対して避けられない運命を定める存在です。彼女たちはそれぞれが異なる役割を担っており、「生」「生の長さ」「死」という人生の三段階を象徴しています。

 

モイライ三姉妹の名前と役割は以下の通りです。

 

モイライ三姉妹

 
  • クローソー:「紡ぐ者」を意味し、人生の始まりとして糸を紡ぐ役割を担います。彼女は新しい命を生み出す象徴として描かれます。
  • ラケシス:「割り当てる者」を意味し、生きる年数や運命の流れを定める役割を持ちます。ラケシスは人生の長さを計測し、それぞれに分け与えられる運命を決めるとされます。
  • アトロポス:「切る者」を意味し、運命の糸を切る役割を持ちます。彼女は避けられない死を象徴し、命が終わるとき糸を切って人生を閉じる存在とされています。

 

これら三女神の運命の糸は、ゼウスのような最高神でさえ変えられないほどの力を持ち、彼女たちによって決められた運命はすべての者が従わざるを得ないとされました。

 

Moirae, or the Fates by 1880 woodcut
生命の糸を紡ぎ、測り、切る運命の三女神モイライを描いた木版画。個々の運命を決定する彼女たちの役割が表現されている。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

このように、モイライは運命の始まりから終わりまでを見守り、ギリシャ神話において避けられない運命の象徴として人々に畏怖される存在だったのです。

 

こうしてみると、モイライは人間と神々の生死に関わる絶対的な力を持ち、すべての命が運命に従うという厳粛な教えを伝える女神たちだったのですね!