ギリシャ神話における「牛」の意味や逸話

は、豊穣や強さ、犠牲の象徴として神話の中で重要な役割を担っており、特に神々の供物として欠かせない動物でした。牛は神々への捧げ物としてだけでなく、英雄や神々に力を試す試練や象徴としても登場します。

 

有名な逸話の一つに、ポセイドンミノス王に与えた「白い牡牛」の話があります。ミノス王はこの美しい牛をポセイドンに捧げるはずでしたが、惜しさのあまり約束を破り手元に置きました。

 

この行為に怒ったポセイドンはミノスの妻パシパエが牛に恋するように呪いをかけ、彼女と牛の間に生まれたのがミノタウロスです。ミノタウロスは、裏切りや欲望の結果として生まれた存在であり、「ギリシャ神話の牛」はその象徴的な要素を強く持っているのです。

 

Hercules and the Cretan Bull/ピーター・パウル・ルーベンス作
ヘラクレスがクレタの牡牛を力強く制圧するシーンを描いた作品。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

また、英雄ヘラクレスの「クレタの牡牛」の試練も有名です。この巨大な牡牛はポセイドンの怒りを受けて暴れ回り、ヘラクレスは力を示すためにこれを捕えることを命じられました。ヘラクレスが見事にこの試練を果たしたことで、牛は「征服と力の象徴」としても神話に描かれるようになったのです。