ギリシャ神話において「最高神」とされるのは、やはりゼウスです。しかし、単に「神々の王」というだけではなく、他にも複雑な役割と歴史的な背景を持っており、彼が最高神とされる理由には多くの要素が絡んでい
ギリシャ神話における「太陽の女神」といえば、一般にはエオスやヘリオスの妹であるヘーリオネーが挙げられることが少なくありませんが、実際に「太陽神」として特に崇拝されたのはヘリオスです。ヘリオスは、太陽そのものを象徴し、毎日黄金の馬車で空を巡って地上に光をもたらす神とされています。しかし、「太陽」に関わる女性的な存在としては、ヘリオスの妹であり「暁の女神」とされるエオスが重要な役割を担っています。
エオスは、夜明けの空をバラ色に染め、太陽が昇る道を準備する女神です。彼女は夜の終わりとともに現れ、やがて訪れる太陽を迎える役割を果たします。このため、エオスは太陽と密接な関係にあり、毎朝、彼女が夜の闇を晴らし、新しい一日の訪れを告げる存在として神話に登場しています。エオスの存在があるからこそ、太陽の神ヘリオスの運行が意味を成し、一日のサイクルが成り立つわけですね。
Eos Memnon Louvre G115/ルーヴル美術館所蔵
暁の女神エオスが英雄メムノンを抱きかかえる様子を描いた作品。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)
また、他の文化では女性の太陽神が登場する例が多いのですが、ギリシャ神話では太陽そのものを象徴する女神は直接登場せず、太陽に関わる役割を持つ女神としてエオスが位置づけられています。この点で、エオスはギリシャ神話の中で太陽の役割を担う存在の一翼を担う重要な女神であるといえます。夜明けや新しい日の訪れにおいて欠かせない存在であり、太陽と密接に関わる女神だったのです。