ギリシャ神話における「氷の神」といえば?

ギリシャ神話において、「氷の神」として直接的に崇拝された神は存在しませんが、ボレアスが「氷や冷気」と深い関わりを持つ神として知られています。ボレアスは北風の神で、冷たい風をもたらし、冬や寒気を象徴する存在です。彼は特に寒冷地から吹き付ける風と関連して、ギリシャ人にとっての厳しい冬を体現する存在とされていました。

 

Boreas and Oreithyia by Stefano della Bella

Boreas and Oreithyia by Stefano della Bella/1896
北風の神ボレアスがオレイテュイアを誘拐する様子を描いたエングレービング。力強く冷たい北風の神として表現されている。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

ボレアスは、ティーターン神族の一柱であるアストライオスと夜の女神エオスの間に生まれた神で、四方の風を司る「アネモイ」の一柱です。彼はたびたび北から吹き下ろす凍てつく風を運び、冬の季節の到来を告げる役割を果たしています。このため、ボレアスは「氷や雪の象徴」としても理解され、古代ギリシャでは冬の厳しさをもたらす存在として恐れられていました

 

また、北風の神であるボレアスは、アテナイの王エレクテウスの娘オーレイテュイアをさらい、彼女との間にカーライスゼテスという双子の子供をもうけたという神話もあります。ボレアスはこのエピソードを通して「荒々しい冬の力」としても描かれており、彼の子どもたちもまた風と空の力を引き継ぎました。

 

このように、ギリシャ神話には氷や雪を直接司る神はいないものの、ボレアスが冷気や冬の象徴として「氷の神」の役割を担っていました。

 

こうしてみると、ボレアスはギリシャ神話における冬の厳しさや冷気の象徴であり、氷や雪の力を通して人々に自然の威厳を伝えていたのですね!