The Owl of Athenaアテナーのシンボルであるフクロウが描かれた作品。知恵の女神としてのアテナーの象徴(出典:Wikimedia Commons CC BY 2.5より)
ギリシ
白鳥はギリシャ神話において「美しさ」と「優雅さ」、さらに「変身」や「愛の象徴」として重要な意味を持つ動物です。とりわけ白鳥は、主神ゼウスが変身した姿としての逸話で広く知られています。
ゼウスはスパルタの王妃レダに恋をし、白鳥に姿を変えて彼女のもとを訪れました。この神秘的な出会いからレダは卵を産み、その中から後にヘレネ(トロイ戦争のきっかけとなった絶世の美女)や双子の英雄カストルとポルクスが生まれたとされています。このエピソードから、白鳥は「神の美しき化身」としての役割を持つようになりました。
レダと白鳥、ジャン=レオン・ジェローム作、1895年
ゼウスが白鳥に変身してレダを誘惑する物語を描いた作品。詳細なリアリズムと豊かな背景が特徴(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)
また、音楽と詩の神アポロンとも関係が深く、白鳥は彼の聖なる鳥とされます。白鳥の歌はアポロンの美しい調べと結びつけられ、白鳥が死の間際に奏でる「白鳥の歌」は、優雅で美しい最後のメロディーとして芸術や詩のテーマにもなりました。このように、白鳥は「儚さと永遠の美」を表す神聖な象徴として神話に残されているのです。