The Owl of Athenaアテナーのシンボルであるフクロウが描かれた作品。知恵の女神としてのアテナーの象徴(出典:Wikimedia Commons CC BY 2.5より)
ギリシ
「蛇」はギリシャ神話において「神聖さ」や「知恵」「再生」、また「恐怖」の象徴として重要な役割を持っています。蛇は神聖な動物とされる一方で、神々の罰や恐怖の象徴としても登場し、特に変身や復活といった概念と深く結びついていました。
たとえば、医学の神アスクレピオスは、蛇の巻きついた杖を持っていました。この蛇は、脱皮を繰り返して生き延びることから「再生」や「治癒」を象徴し、アスクレピオスの治療力のシンボルとなりました。この杖は後に医学の象徴としても広く使われるようになります。
一方で、蛇は恐怖の象徴としても神話に登場します。ヘラクレスが討伐したヒュドラは、複数の頭を持つ巨大な蛇で、頭を切っても次々と生えてくる再生力を持っていました。さらに、冥界の神ハデスの妻ペルセポネが冥府に拉致される際には、地中に棲む蛇たちがその神秘的な世界を象徴していたとされています。
Hercules and the Hydra/1634年スルバラン作
ヘラクレスがリュルネーのヒュドラと戦う様子を描いた作品
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)
また、蛇の持つ神秘的な力は、怪物メドゥーサとも関係しています。彼女の髪は生きた蛇でできており、見る者を石に変える恐ろしい力を持っていました。このように、蛇は知恵や再生、そして神秘的な力の象徴として、ギリシャ神話の中で特別な存在とされているのです。