ギリシャ神話における「天空の神」といえば、最も有名なのがウラノスです。ウラノスは「天そのもの」を象徴し、最も初期の神の一柱として大地の女神ガイアから生まれた存在です。ウラノスとガイアは結びつき、次々に神々や巨人、怪物たちを生み出し、神話における最初の神々の系譜を形成しました。ウラノスはまた、天空を覆い大地を抱きしめるように存在していたとされています。
しかし、ウラノスは単なる天空の象徴であるだけでなく、厳格で支配的な一面を持つ神でした。クロノスをはじめとする子どもたちがその力を恐れるほどで、ウラノスは彼らを大地の奥深くに閉じ込めてしまいます。これに反発したガイアとクロノスは、ウラノスに反旗を翻し、彼を打倒することで新たな神々の時代が訪れることになるのです。ウラノスの打倒は、ガイアの子どもたちが解放され、オリンポスの神々が登場するきっかけともなりました。
『ウーラノスと踊る星々』1834年カルル・フリードリッヒ・シンケル作
天空の神ウラノスを描いた木版画。彼の威厳と力強さが表現されている。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)
ウラノスの後、天空の役割を引き継いだ神がゼウスです。ゼウスは天空を支配する全能の神であり、雷を操る力を持ち、オリンポスの神々の王としての地位を確立しました。ゼウスの力は、天空の神としての権威を確立し、地上と天界を統治する存在として多くの神話で描かれています。ウラノスが天空の起源であるとすれば、ゼウスはその力を引き継ぎ、より人間社会に影響を及ぼす神として崇拝されたといえるでしょう。
こうして、ウラノスとゼウスはギリシャ神話における「天空の神」としての役割をそれぞれ異なる形で担い、神々と人間に影響を与える重要な存在として位置づけられています。