ギリシャ神話において「最高神」とされるのは、やはりゼウスです。しかし、単に「神々の王」というだけではなく、他にも複雑な役割と歴史的な背景を持っており、彼が最高神とされる理由には多くの要素が絡んでい
ギリシャ神話における「死の神」といえば、まずタナトスが挙げられます。タナトスは「死そのもの」を象徴する神であり、穏やかに人々の魂を冥界へと導く存在です。タナトスは夜の女神ニュクスの子であり、双子の兄弟である「眠りの神」ヒュプノスと共に、死と眠りの象徴として描かれることが多いです。彼の役割は無慈悲ですが、残虐ではなく、むしろ避けがたい死の運命そのものを体現しています。
Thanatos by Jacek Malczewski/1899年
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)
冥界の支配者であるハデスも「死」を司る重要な神とされています。ハデスは、死後の魂が行き着く冥界を統治し、亡き者たちの安息を守る存在です。ハデスはゼウスやポセイドンの兄であり、神々の間で冥界を任されましたが、無闇に死をもたらす神ではありません。むしろ、彼は秩序を守り、亡き魂たちが行くべき場所へ導かれるよう、冥界を厳格に管理している神です。
また、復讐と罰の女神であるエリーニュス(複数形で「フューリー」とも呼ばれます)も死後の罪を裁く役割を持ちます。エリーニュスたちは、特に血縁の間での罪や不正に対して追跡し、罰を与える存在として恐れられていました。彼女たちはタナトスやハデスと共に冥界の秩序を支え、正当な死後の裁きを行う役割を担っています。
このように、タナトス、ハデス、そしてエリーニュスは、それぞれ異なる面から「死」に関わり、冥界や死後の世界の秩序を維持する重要な役割を果たしています。