ギリシャ神話に登場する「馬車」とそれぞれの伝説

ギリシャ神話において、「馬車」は神々や英雄の力や役割を象徴する重要なアイテムとして描かれています。それぞれの馬車には特徴や物語があり、自然や人間界との結びつき、さらには宇宙の秩序を示すものとして登場します。以下に代表的な馬車とその伝説を紹介しますね。

 

 

ヘリオスの太陽の馬車

ヘリオスの壁画

ヘリオスの壁画/ニンフェンブルク宮殿の石のサロン所蔵
太陽神ヘリオスが太陽の馬車を駆る様子を描いた壁画
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

ヘリオス(太陽神)の馬車は、燃え盛る炎の馬たちによって牽引され、毎朝東の空から登り、天空を駆けて西の海に沈むとされています。この馬車は、昼と夜の切り替わりや自然の秩序を象徴する存在といえますね。 ヘリオスの息子パエトンが父に懇願し、一度だけこの馬車を操ることを許されますが、制御を失い、地上に大災害を引き起こしてしまいました。そして最終的にゼウスが雷霆を投げてパエトンを討ち、その暴走を止めたという悲劇が語り継がれているのです。

 

セレネの月の馬車

セレネ(月の女神)の馬車は、銀色の馬たちが牽引する美しい乗り物です。彼女は毎晩この馬車で夜空を駆け巡り、月の光を世界に届けます。 セレネの馬車は、夜の静けさや月の神秘を象徴し、夜空を支配する彼女の役割を担う重要なアイテムといえますね。また、彼女が地上の若者エンディミオンを愛し、夜ごと彼を見守るというロマンチックな物語とも結びついているんですよ。

 

ポセイドンの海の馬車

ポセイドン(海神)の馬車は、海馬(ヒポカンポス)という神秘的な生物が牽引し、波の上を滑るように進むことができます。 ポセイドンはこの馬車に乗り、嵐を引き起こしたり、海を静めたりすることで、海上の秩序を保っていました。そして彼が馬車で海を巡る様子は、神々しい威厳と海洋の神秘を強調しているのです。

 

ハデスの冥界の馬車

ハデス(冥界の神)の馬車は、暗黒の馬たちによって牽引され、特に彼が春の女神ペルセポネを冥界へ連れ去った場面で有名です。 ハデスは地上に現れ、この馬車でペルセポネを誘拐し、季節の移り変わりを生む物語を展開させました。このエピソードは、冥界の神の力と恐ろしさを象徴しているんです。

 

アフロディテの鳩の馬車

アフロディテ(愛と美の女神)の馬車は、白い鳩が牽引する優雅で美しい乗り物です。彼女が天空や地上を移動する際に使用され、愛と美の象徴として描かれています。 その華麗さによって愛や調和の力を象徴し、神話の中で物語に優雅さを添える存在になっているのです

 

アポロンの太陽の馬車

後代の神話では、太陽神としてアポロンがヘリオスに代わって馬車を操る役割を担います。そしてアポロンの馬車も炎の馬が牽引し、彼の光と知恵が世界を照らす象徴となっています。 アポロンの太陽の馬車は、彼の音楽や詩の才能とともに、光と芸術を司る神としての地位を象徴するアイテムなんです

 

このように、ギリシャ神話における「馬車」は、それぞれの神の性格や役割を象徴する重要なアイテムです。それらの伝説は、自然や宇宙の秩序を表現し、神話の豊かさと奥深さを際立たせているんですね!