ギリシャ神話の頭痛にまつわるエピソード

ギリシャ神話には、「頭痛」が神話の重要な出来事につながるエピソードが存在します。それが、アテナの誕生にまつわる話です。最高神ゼウスが激しい頭痛に襲われ、その頭を割ると、そこから完全武装のアテナが飛び出してきたというものですね

 

物語の背景には、ゼウスが「自身の子どもによって支配権を奪われる」という予言を恐れたことが関係しています。ゼウスは知恵の女神メティスとの間に子どもができることを知ると、予言を回避するために彼女を飲み込んでしまいました。しかし、メティスはすでに子どもを宿しており、その結果ゼウスの頭の中で成長を続け、激しい頭痛を引き起こすことになったわけです。

 

The Birth of Athena, Ancient Greek amphora, c. 550-525 BC

アテナの誕生、古代ギリシャのアンフォラ、紀元前550年〜525年
ゼウスの頭部から全身武装して誕生するアテナを描いた壺画。このシーンは、知恵と戦略の女神アテナの神話的誕生を表現している(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

耐えきれなくなったゼウスは、火と鍛冶の神ヘパイストスに頼み、頭を割ってもらいました。そしてその瞬間、完全武装の戦いの女神アテナが姿を現したのです。「自己保身でメティスを葬ったゼウスへの制裁」ともとれる劇的な誕生譚は、正義と秩序を重んじる武神アテナにふさわしいエピソードと言えるでしょう。

 

こうしてみると、ギリシャ神話における「頭痛」のエピソードは、ゼウスの恐れやアテナの強さを象徴する、非常に独創的な誕生劇だったのですね!