ギリシャ神話における「翼を持つ女神」といえば、ニケが最も代表的です。ニケは「勝利の女神」として知られ、しばしば翼を持つ姿で描かれ、勝利の象徴として神々や英雄に力を授ける存在です。その姿は大空を自由に飛び、戦いにおける勝利を祝福するために神々のもとに舞い降りるとされました。ニケの翼は、素早さや神々しい加護を表し、ギリシャの戦士たちや競技者にとって、彼女は勝利の運び手として大切に崇拝されました。

『サモトラケのニケ』
勝利の女神ニケを象った古代ギリシャ彫刻。動勢が特徴。
（出典：Wikimedia Commons Public Domainより）

エリスも翼を持つ神々の一員として登場することがあります。エリスは「争いと不和の女神」で、特にトロイア戦争の発端を作ったことで知られています。彼女の翼は素早く不和を広げる象徴として描かれ、神話では意図的に混乱や争いを引き起こす役割を担うことが多い存在です。

また、勝利や素早さに関連する神々として、イリスも翼を持つ存在として知られています。イリスは「虹の女神」で、神々の伝令としてオリンポスと地上を行き来する役割を担っています。イリスの翼は虹色とされ、神々の意思を伝えるために天と地を素早く移動する象徴として描かれました。

このように、ニケ、エリス、そしてイリスは、それぞれ異なる側面で「翼」を持ち、ギリシャ神話において重要な役割を果たしています。