ギリシャ神話における「地獄の神」といえば?

ギリシャ神話における「地獄の神」といえば、代表的なのがハデスです。ハデスは冥界の支配者として、死者の魂が行き着く地獄を管理する神とされています。彼はゼウスやポセイドンと兄弟で、ゼウスが天、ポセイドンが海を統治する中、ハデスは冥界を治める役割を与えられました。ギリシャ神話では、彼の存在が「死」そのものを象徴しており、しかしながら冷酷な存在というわけではなく、あくまで秩序と安定をもたらす存在として描かれているのです。

 

そしてハデスの妻であるペルセポネも重要な役割を持っています。ペルセポネはもともと地上の女神デメテルの娘でしたが、ハデスによって冥界に連れ去られ、彼の妃となりました。この結婚によって、彼女は「冥界の女王」として、ハデスと共に死者の世界を支配することになったのです。ペルセポネの存在は、死と再生の概念を象徴し、季節の移ろいとも深く関わる神話の中心的なテーマです。

 

ハデスの誘拐

ハデスがペルセポネを誘拐する瞬間を描いた絵画
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

また、冥界に関連する神々には、タナトスという「死の神」もいます。タナトスはハデスの従者的存在であり、死そのものの化身として描かれています。彼は死者の魂を冥界へと導く役割を担い、その冷静で無慈悲な性格から、多くの者に畏怖されていました。彼の存在があることで、ハデスの冥界が円滑に機能していたといえるでしょう

 

このように、ハデスペルセポネ、そしてタナトスといった神々が、ギリシャ神話における地獄と死の領域を形成していたのです。

 

こうしてみると、ハデスを中心とする冥界の神々は、単なる恐怖の対象ではなく、宇宙全体の秩序を守る重要な役割を担っていた存在だったといえるでしょう。