ギリシャ神話における「犬」の意味や逸話

は、忠誠や守護の象徴として、神話において重要な役割を果たす動物です。特に、冥界の番犬ケルベロスが象徴的な存在として知られています。ケルベロスは冥府の入口を守り、死者の国から生者が入り込むことを防ぐ、三つの頭を持つ恐ろしい犬でした。

 

ケルベロスは冥界の神ハデスに仕え、彼の領域に絶対的な忠誠を誓う存在とされています。このため、ケルベロスは「忠実な守護者」の象徴とも見なされ、侵入者には容赦なく立ち向かいます。

 

Hercules and Cerberus/1636年 ピーター・パウル・ルーベンス作
ヘラクレスが冥界の番犬ケルベロスを捕らえる様子を描いた作品。
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

英雄ヘラクレスが行った十二の功業の最後の試練でも、彼はケルベロスを冥界から連れ出すという無謀な挑戦を命じられ、見事に成功を収めたことから、ケルベロスは「試練の象徴」としても神話に深く刻まれています。

 

また、忠誠を尽くす動物としての犬のイメージは、狩猟神アルテミスに従う猟犬たちにも表れています。アルテミスは野生の動物たちを司り、猟犬たちは彼女に忠実に仕える存在として登場し、犬は「忠誠心」や「従順さ」を体現する動物とされてきました。