ギリシャ神話に登場するドラゴン(竜)といえば?

ギリシャ神話に登場する「ドラゴン(竜)」といえば、ラドンヒュドラ、さらにはカドモスの竜が有名です。これらの竜たちは強大な力を持ち、英雄や神々にとって大きな試練となる存在として描かれています。

 

まず、ラドンはヘスペリデスの園を守る百の頭を持つドラゴンです。この竜は黄金のリンゴを守る役目を持っており、英雄ヘラクレスの十二の功業の一つで討たれる運命にあります。ラドンは、貪欲と守護の象徴として描かれました。

 

Herakles and Ladon Relief

Herakles and Ladon Relief
ヘラクレスがヘスペリデスの園で金のリンゴを守る多頭の龍ラドンと対峙する様子を描いた古代の浮き彫り
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

次に、有名なヒュドラは、ラーン湖に棲む九つの頭を持つ怪物で、切り落としても再び生え、より強力になる再生能力を持つドラゴンです。ヘラクレスはヒュドラとの戦いで知恵と戦略を駆使し、最終的に炎で頭を焼き封じ込めることで討伐しました。ヒュドラは不死性と復讐の象徴として恐れられています。

 

Hercules and the Lernaean Hydra by Gustave Moreau

Hercules and the Lernaean Hydra by Gustave Moreau
ヘラクレスがレルネーの湖の怪物ヒュドラと戦う様子を描いた1875-1876年の作品
(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

そして、カドモスの竜は、英雄カドモスがテーベの地に到着した際に退治した竜で、牙を地に植えるとそこから戦士が生まれるとされています。カドモスはこの竜を討ち、そこから生まれた戦士たちの助けを得て都市テーベを築いたとされています。

 

ギリシャ神話における竜たちは、単に恐怖の象徴ではなく、英雄が知恵や勇気を示す試練として登場し、重要な舞台装置として物語に深みを与える存在なのです。