古代ギリシャ神話の物語って、「昔の神さまたちのドラマでしょ?」とか「壮大な冒険ファンタジーだよね」って思われがちなんですが、実はそれだけじゃないんです。
じつは今もなお、私たちが何気なく使っている言葉や表現の中に、しっかり息づいてるんですよ。ふとした日常会話のワンフレーズ、学校で習う専門用語、企業や商品の名前──そういうところにも、ギリシャ神話の影がちゃっかり忍び込んでるんです。
「ギリシャ神話由来の言葉」っていうのは、物語が文化や言語の中にしみ込んで、今でも人々の暮らしをさりげなく彩っている証なんですね。
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Narcissus by Caravaggio/1597-1599
水面に映った自分の姿に恋をするナルキッソスを描いた作品。現代語の「ナルシズム」の語源になった。
─ 出典:Wikimedia Commons Public Domainより ─
ヨーロッパの言葉や文化には、ギリシャ神話がルーツになってる表現がたくさん残ってるんです。神話の登場人物や物語って、ただの昔話として終わったわけじゃなくて、ちゃんと今も言葉の中に息づいてるんですよね。
だからこそ、今の私たちの表現に、グッと深みや響きを与えてくれているんです。
「ナルシシズム」っていう言葉、聞いたことありますか?
これはナルキッソスの物語が由来なんです。池に映った自分の姿に恋をしてしまった──そんなナルキッソスの姿から、「自分を愛しすぎること」や「自己陶酔」を表す言葉として生まれました。
人間って、つい自分に夢中になっちゃうところがありますよね。ナルキッソスの話は、そんな私たちの心の弱さや欲望を映し出す鏡みたいなものだったのかもしれません。
今では心理学の用語としても使われてますが、日常会話でも「ちょっとナルシストっぽくない?」なんて気軽に言ったりしますよね。
「タイタニック(Titanic)」という言葉の語源は、ティターン神族にあるんです。意味は「巨大で圧倒的なもの」。
20世紀に造られた豪華客船「タイタニック号」にこの名前がつけられたのも、「これ以上ないスケール感」を印象づけたかったからなんですね。
そして今でも「タイタニック」という言葉には、「人類の限界に挑むような、とてつもないもの」っていうイメージがくっついています。スケールの大きな計画や夢に、この言葉がぴったりくるんです。
「オデッセイ(Odyssey)」は、英雄オデュッセウスの壮大な旅を描いた叙事詩『オデュッセイア』から生まれた言葉です。
「長くて波乱に満ちた旅」という意味で使われていて、今では旅行記や冒険もののタイトルにもよく見かけますよね。
時には「人生そのものがオデッセイなんだ」なんて、ちょっとドラマチックに使われることもあります。
こんなふうに、神話の人物や物語って、文化や言葉の中に溶け込んで、私たちの表現を今も豊かにしてくれているんです。
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巨人アトラス
天球を肩に負うアトラス。「地図帳(Atlas)」の語源となった。
出典:Photo by Unknown author / Wikimedia Commons Public domain
ちょっと学問の世界をのぞいてみると、そこにもギリシャ神話の名残がたくさんあるんです。神話の登場人物やイメージが、いつのまにか専門用語に変身して、知識の世界を奥深く彩ってるんですね。
天空を支え続けた巨人アトラス。その名前が「地図帳(Atlas)」の語源になったって、なんだかロマンを感じませんか?
大地や空を背負っていた彼の姿は、世界をまるごと描き出す地図のイメージとぴったり重なります。
今でも「アトラス」という言葉は、地図や地理に関する分野で広く使われていて、まるで知識の土台をしっかり支えてくれているみたいです。
「クロノロジー(chronology)」っていう言葉、じつは時間の神クロノスが語源なんです。
時間の流れを整理したり、年代を並べたりするこの学問に、まさに「時の神」の名前がそのまま使われてるっていうのは面白いですよね。
昔の人たちが抱いていた「時間ってすごい力を持ってるんだ」という感覚が、今では学問としてしっかり体系化されてるってわけです。
火を人間に与えたプロメテウスは、今でも「科学のパイオニア」みたいな存在として語り継がれています。
たとえば「プロメテウス計画」なんて名前を見かけることもありますが、これは彼が「知恵と革新のシンボル」として尊敬されている証拠なんですね。
さらに面白いのが、太陽の表面から炎みたいに噴き出す現象を「プロミネンス」って呼ぶこと。ここにもちゃんと神話のエッセンスが隠れているんです。
こうして見ると、学問や科学の世界でも、ギリシャ神話は知識の源として、今もひっそり息づいてるんですね。
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