ギリシャ神話における「虹の女神」といえば、イリスが挙げられます。イリスは虹の女神であり、天と地をつなぐ神々の使者として知られています。彼女は神々のメッセージを地上に伝えたり、地上から神々に伝えたりする役割を担っていました。虹のように美しく速やかに移動するため、イリスはオリンポス山から人間界、そして海の底や冥界まで、どこにでも素早く行き来することができました。

イリスの持ち物としては、水が入った金の壺が有名です。彼女はこの壺から川の水を汲んで神聖な誓いを行い、虹の橋をかける役割を担っていたとされています。イリスは穏やかで調和のとれた神として描かれ、特に戦いや混乱を避け、平和の使者として働きました。

Iris Carrying the Water of the River Styx to Olympus for the Gods
虹の女神イリスがステュクス川の水をオリンポスの神々へ運ぶ様子を描いた作品。彼女のメッセンジャーとしての役割と速さを象徴。
（出典：Wikimedia Commons CC0 1.0より）

また、イリスの姿はしばしば翼を持つ女性として描かれ、その翼は虹色とされています。虹は一時的に現れて消える儚さも持つため、イリスは人々にとって希望の象徴でありながら、神秘的で一瞬の美しさを示す存在でもあったのです。

このように、イリスは虹を象徴するだけでなく、神々と人間、さらには冥界との橋渡しをする重要な役割を果たしていたのです。