ギリシャ神話とゾロアスター教の違いや関係|イデオロギーを対比してみよう

ギリシャ神話ゾロアスター教は、それぞれが異なる文化圏で発展した宗教観を持ちながら、イデオロギーの対比でその違いが浮彫りになる面があります。ギリシャ神話は多神教的な特性を持ち、神々が持つ人間的な側面や個性が豊かで、彼らの間のドラマが数多くの物語に影響を与えています。一方で、ゾロアスター教は一神教に分類され、善と悪の二元論を中心にした宇宙観が特徴です。

 

Zoroastrian ossuary, 7th-8th century CE, Hirman Tepe, Uzbekistan

ウズベキスタン、ヒルマン・テペにあるゾロアスター教のオッスアリー(骨壺)。7〜8世紀のゾロアスター教徒の葬儀文化を示す重要な遺物。(出典:Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0より)

 

ギリシャ神話においては、ゼウスをはじめとするオリンポスの神々が各々に様々な自然現象や人間の運命を司ることが多く、これらの神々の関係性や競争、協力が物語の中心になります。神々は敬愛される一方で、彼らの不完全さや道徳的な葛藤もしばしば描かれることがあります。

 

一方、ゾロアスター教では、全知全能の神アフラ・マズダーが宇宙の創造主として崇拝され、彼と対立する悪の原理であるアンラ・マンユとの間の永遠の戦いが教義の核となります。この宗教は、人間が善と悪の間で選択を迫られる道徳的なテストとしての人生を強調し、個々人の行動が世界の究極の運命に影響を及ぼすと教えます。

 

Achaemenid Cylinder Seal, Ahura Mazda, 6th-4th century BCE

アケメネス朝印象に書かれたアフラ・マズダー/紀元前6世紀〜4世紀
この作品は、アケメネス朝の王がスフィンクスの前で宗教的儀式を行っている様子を描いており、その上にはゾロアスター教の最高神アフラ・マズダーが描かれています(出典:Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より)

 

これらの違いは、ギリシャ神話が個々の神々の性格や物語を通じて人間性を探求するのに対し、ゾロアスター教がより明確な善悪の対立を通じて道徳的・宇宙的な秩序を追求する点に反映されています。ギリシャ神話は比較的世俗的で人間中心の価値観を持ち、ゾロアスター教は道徳的かつ霊的な救済を強調するところに大きな違いがありますね。

 

このように、ギリシャ神話とゾロアスター教は、それぞれが持つ世界観や神性の理解において、名実ともに異なるイデオロギーを展開しているのです。